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2014年の4月に東京都世田谷区の小学校で、運動会に向けた組み体操の練習で転倒し、後遺症が残った男子生徒の家族が損害賠償を求めた裁判に関して2017年12月11日、ひとまず和解が成立しました。

 

しかしこのようなスポーツや体育活動での事故の話において学校が向き合おうとしない姿勢が、当事者を傷つけることが少なくないようです。

 

今回のケースも和解とはいえ書面のやりとりで、心を通わせるものはなく当事者たちは学校の対応に怒りを感じました。教育委員会に対しても同様の思いのようです。

 

昨今、学校現場における組み体操の是非が問われており注目を集めています。

 

様々な意見がありますがこの記事では元教師という立場で考えていきたいと思います。

~組み体操の歴史~

そもそも学校の勉強というのは学習指導要領にのっとって行います。戦後間もない頃には学習指導要領に組み体操の記載があった時期も少しだけあるようですが、現在は何の記述もありません。

 

しかし高学年の運動会では組み体操をするというのが一般的なほど学校現場では当然になっていました。

 

おそらくほとんどの方が組み体操を経験していると思います。実際に事故も多発していますが発生件数としてはどのようになっているのでしょうか?

~事故の件数~

日本スポーツ振興センターによると、2016年度における小中高の組み体操による事故件数は5271件であることが分かりました。

 

実は統計が取られ始めた2011年度から2015年度まで8000件台で推移してきましたが5000件台に一気に減少しました。ピーク時の2012年度(8883件)に比べると41%の減少です。

 

この結果は2016年から国や自治体が事故防止に取り組んだことの成果と見ることができると思います。しかし事故が減少していることは確かでも保護者の方の不安が消えたわけではありません。

 

過去46年間に組み体操の事故で9人が死亡、障害が残った子どもは92人にのぼります。

 

さらに、段数は少なくても、動くピラミッドや起き子など、アクロバティックな技だけでなく倒立や肩車の一見そこまで危険性が高くなさそうな技でも400件以上骨折だけでなく重篤な事故が発生しているのです。

 

一体どのようになっていくのでしょうか?

 

私自身6年生の担任を複数回やったことがある中で、

⓵組み体操

⓶組み体操+ダンス 

⓷道具を使ったマスゲーム

をしたことがあり経験したことも含めて書いていきます。

~現場ではなぜやめない?~

⓵意義がある

担任教師にとって最も大事なことは、学級(学年経営)であり、集団としてのまとまりだと思います。当然、組み体操は個人の力だけでは成り立たないものだし、普段あまり目立たない子どももみんなで支え合うことで力を発揮できることがあるのは事実です。

 

仲間同士の達成感というものも実際目にしてきました。集団での協調性や、助けあいの大切さを学ぶことができると思います。

⓶歴史がある

先輩たちから代々受け継がれてきたものと受け取られている学校も多く、保護者たちも期待している面もあります。私も何回か6年生の担任をした時に去年よりどうだったとかよく言われました。

 

組み体操の内容を減らした時は新しくて良いという意見もありましたし、やっぱり迫力に欠けておもしろくないとも言われました。どうしたらいいんですか?と何回も思いましたね(笑)

⓷代案ではだめなのか?

やはり見ている方のインパクトとしては組み体操が大きいし個人的に教師というのは前よりも上のものを求める傾向があるので代案を考えるのがなかなか難しいです。

 

そして昔は運動会と言えば秋に開催するのが当たり前でした。しかし現在は春に開催しているところも多いので代案を考える時間が限られているのもあります。さらに子ども自身も組み体操に対する憧れのようなものがある子が多いです。

⓸保護者ウケがいい

事実保護者ウケは良いと思います。現在でも組み体操を支持する保護者は少なくありません。また保護者もほとんどの方が組み体操のつらさを経験しているので自分の子どもたちが一生懸命にがんばっている姿は感動ものです。

 

ある小学校では校長先生が問題提起して、組み体操に制限を加えピラミッドをやめましたが、PTA関係者から「勝手にやめるなんておかしい」ということで、抗議があったようです。

~賛否両論~

正直どちらの意見が多いとか正しいというのは分かりませんし決まらないでしょう。全員で何かをやり遂げる経験のために絶対になくしてほしくないという保護者もいます。しかし、昔に比べて反対の意見が増えたことは間違いないと思います。

 

2016年の1月に、愛知県がピラミッドを5段、タワーを3段までとすることを決定し、名古屋市でも、ピラミッドが4段、タワーが3段までに制限されました。東京都でも2016年度においてはピラミッドとタワーを禁止。

 

4月には、神戸市がピラミッド4段、タワー3段までとし、5月には、福岡市がピラミッドとタワーを廃止しました。大阪市の教育委員会は「ピラミッド」「タワー」を2017年度から禁止しました。

 

さらに千葉県の複数の自治体は(柏市、流山市、野田市)が、組み体操そのものが廃止されました。このように全国各地で教育行政が対応をとられていることから反対意見が増えたことが分かります。

~必要な学校もあるのは事実~

ここまで危険性について書いてきましたが、現場では組み体操があるからこそ上手くいっている学校があるのも事実だと思います。

 

「別に他のことを考えたら良いじゃないか」と言われるかもしれせんが、地域のしがらみや子どもたちの雰囲気、保護者の声などから実際には変えることというのは簡単ではありません。少しヤンチャな子ほど組み体操をやりたがりますし・・・。

~まとめ・運動会の在り方について~

明治時代からあった運動会は体育の授業でやったことを発表する場でした。今のように運動会のために集団での演技を練習するのではなく授業の成果を発表する機会だったようです。

 

だんだんとお祭り化してきたここへきて、本格的に再考する時期に来たのだと思います。徒競走だけにしたら良いとは思いませんが・・・。組み体操に関してもたまたま私自身は事故などはありませんでした。

※もちろん安全性に配慮し丁寧に指導してきたつもりです。

 

しかし、変えることが難しい学校があると分かったうえで、やはり命や重い後遺症が残るリスクがある以上をどうしてもすることではないと思います。

 

親を感動させるためにやっている訳ではないので。子どもたちの成長を見せることができるもの学校全体で考えていくことが必要なのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

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